マンションの外壁にあしらわれたタイルがはがれ落ちるトラブルが増えている。「施工不良が原因」として、住民らが施工会社に修繕費を求めて訴訟に発展するケースも。業界団体からは「コストを抑えようと工程を簡略化している会社もある」と指摘する声が出ている。
「まさかタイルが落ちるなんて」。神戸市内にある分譲マンション(2005年完成)の管理組合元理事長の60代女性は憤る。
旅行で訪れた神戸の街が気に入り、数年前に中古で購入。東京の一戸建て住宅から引っ越し、人生初のマンション暮らしを始めた。
約250世帯の回り持ちで組合理事長になった後の15年3月、14階付近の外壁タイルが幅約1・5メートルにわたってはがれ落ちた。緊急の理事会が開かれ、女性が代表として販売会社に補修を求めたが、「原因は経年劣化」と拒否された。
組合で建設会社に依頼して調査したところ、17年6月時点で外壁全体の約15%に破損や浮きなどの問題が見つかった。補修工事費の見積額は約1億7千万円。当時の修繕積立金では足りず、組合名義で金融機関から1億円を借りた。毎月集める修繕積立金から返済している。
組合は17年12月、販売会社と施工会社などに補修工事費など約2億4300万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。現在は建築の専門家を交えて話し合いによる解決を目指す調停手続きに切り替わり、今夏には裁判官らが現場を訪れて破損状況を確認したという。
女性はこうした対応のため、通…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル