コーヒーをはじめとする輸入食品を扱う「カルディコーヒーファーム」を運営する「キャメル珈琲(コーヒー)グループ」(東京都)が、北海道にワイナリーを立ち上げたのは4年前のことだ。
舞台は、北海道西部の積丹(しゃこたん)半島の付け根のあたりだ。札幌市から車で西へ1時間ほどの余市町。ニッカウヰスキーの余市蒸留所があることで知られる町は、明治期に国内で初めてリンゴ栽培に成功した歴史があり、果樹栽培が盛んだ。
「カルディ」のねらいは
複数のワイナリーが点在する緩やかな傾斜地に「キャメルファームワイナリー」はある。東京ドーム3個分にあたる約13ヘクタールのブドウ畑は、後継者を探していた地元農家から受け継いだものだ。
ブドウ栽培はほかの果樹と同じように、機械化が難しい。摘み取りは手作業のため、人手不足や高齢化が進み、廃業を選ぶ農家が少なくない。
カルディでは多くの輸入ワインを販売する。会社として、取り扱う商品の生産者との関係を築くことを大切にしてきた。2014年、最高幹部がイタリアでワイナリーとブドウ生産者との共存関係を目の当たりにした。日本の農業に目を向けると、担い手不足が際立つ。ワイナリーをつくることで日本の農業を盛り上げることはできないかと思いついた。
イタリアから醸造専門家を招き、長野や山梨など日本各地のブドウ産地を回ってもらった。「この土地なら世界でも勝負できるワインがつくれる」と推されたのが余市町だった。
17年、ブドウ畑の横に1400平方メートルの醸造所を建てた。中には人の背丈の3倍はありそうな発酵用のステンレスタンクが45基。全自動で瓶詰めをする装置も備える。
主力はスパークリングワインだ。
この土地の冷涼な気候で育つブドウは豊かな酸味が特徴。「スパークリングワインに向いている」というのが、イタリアの専門家の意見だった。
年間10万本つくるワインの大半はカルディで販売している。ワイナリー長の伊藤愛さんは「スパークリングワインに特化したワイナリーは国内では珍しい」と話す。
店舗スタッフが「アンバサダー」
収穫期の秋になると、ブドウ農家やワイナリーは摘み取りの人手の確保に悩まされる。ワイン愛好家を対象にボランティアを募ることもある。
だが、キャメルファームワイナ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル