SMBC日興証券の専務執行役員らが不正な株価操作をしたとされる事件で、社内の監視部門が元エクイティ部長・山田誠容疑者(44)に不審な取引がシステム上で検知されたことを指摘しながら、是正措置が取られなかったことが、関係者への取材で分かった。経緯を記録した資料も残されていたといい、押収した東京地検特捜部が管理体制の実態を調べている。
金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いで逮捕された山田容疑者ら4人は、大株主の保有株を市場外で買い取って投資家に売る「ブロックオファー」取引が成立するよう、取引の基準となる市場終値の下落を避ける株価操作をしたとされる。逮捕容疑は東証1部上場の5銘柄で、自社資金で株式を売買する部署のトップだった山田容疑者が市場が閉まる直前に大量の買い注文を入れたという。
システムが警告→ヒアリング→放置
証券会社は不審な取引を検知して警告を発する自動システムを導入しており、SMBC日興では売買管理部がシステムを使って取引を監視、審査している。
関係者によると、山田容疑者が行った取引時間終了間際の大量注文に対し、このシステムが作動した。売買管理部の担当者が山田容疑者にヒアリングをしたが、山田容疑者はあしらうような対応をして是正しなかったという。売買管理部もそれ以上の審査はせず、問題は放置された。一方で担当者は、山田容疑者の発言を含めた一連の経緯を記録に残したという。
同様の買い支えは逮捕容疑を含めて十数銘柄で行われた疑いがあり、特捜部は容疑者らがやり取りした通話データやメールも押収して解明を進めている。
同社の近藤雄一郎社長は5日の会見で、システムが抽出した取引の審査について「問題の有無を判断する目線が担当者間で統一されていなかった」と語った。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル