全天候型の多目的ドームとして2001年に開業した札幌ドームが、2日で20周年を迎える。昨年度はコロナ禍のあおりを受け、大規模な設備投資をした年を除けば開場以来初めての赤字となった。23年度には、売り上げの約3割を占めてきたプロ野球日本ハムが本拠地を北広島市へ移す。先行きが厳しいなか、「二十歳」の施設の次の一手は――。
札幌ドームは、札幌市民、道民にスポーツ観戦文化を根付かせた。サッカーJ1のコンサドーレ札幌(現・北海道コンサドーレ札幌)に加え、04年には日本ハムがやってきた。国内で唯一、プロサッカーチームとプロ野球チームの二つの本拠地となった。
巨人ファンが多いといわれた北海道。日本ハムは当時では先進的だった球団ぐるみの熱心なファンサービスもあり、徐々にファンを増やした。新庄剛志さんの奇想天外なパフォーマンスも話題を呼んだ。開業5周年の06年に44年ぶりの日本一になった。稲葉篤紀、ダルビッシュ有、大谷翔平ら人気と実力を兼ね備えたスター選手を擁して、集客を増やした。
5月28日には、日本ハム初の道産子ドラフト1位、新人の伊藤大海投手がドームでの初白星を挙げた。時代が巡り、伊藤投手のような幼少期からドームを訪れた選手が活躍するようになったことは、地域に根ざしたスポーツ振興の成果でもある。
建設当初の目的でもあった02年サッカー日韓ワールドカップのほか、ラグビーワールドカップ、ノルディックスキー世界選手権などの国際大会でも使われた。海外の大物アーティストや近年では人気グループ・嵐の公演などイベント実績も重ねた。
札幌ドームの山川広行社長は「ナイターなどスポーツ観戦の文化が定着し、市民・道民のエンターテインメントの幅が広がった」と評価する。
しかし、コロナ禍が状況を一変させた。約3カ月間の休業を強いられ、公式戦は無観客試合、コンサートは中止、延期になった。
近く公表予定の20年度の売…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル