子どもの自殺が増えています。専門紙「不登校新聞」の代表で、不登校の子どもや若者、親など400人以上に取材してきた石井志昂さんが訴えるのは「今年の6月は特に気をつけて」。その理由とは――。
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昨年、自殺した小中高生は514人で過去最多となりました(厚生労働省調査・確定値)。月別にみると、もっとも自殺が多かったのは6月(62人)、次いで多かったのは9月(57人)でした。
苦しかったコロナ禍、「一区切り」のあとこそ
6月が最多というのは意外な結果だったので、これまでの調査結果や取材資料をふり返ったところ、たしかに6月も「注意すべき時期」だと考えるようになりました。しかも今年は特に、だと思っています。
なぜ「6月」に注意が必要なのか。子どもの異変を感じたら大人はどうしたらよいのでしょうか。
子どもの自殺背景のひとつに挙げられるのがいじめです。いじめの発生時期にはピークがあります。NPO法人「ストップいじめ!ナビ」によれば、夏休み明けが第1のピーク、第2のピークは5月から6月に迎えます。新年度以降に固まり始めた人間関係にトラブルが起きやすくなるため、連休明けにいじめが多くなるのでは、と分析しています。
一方でいじめのピークと時期を同じくして、今年のゴールデンウィーク明け以降、不登校の子も増えているようです。これは例年同様の傾向です。不登校の理由はいじめだけではありませんが、なんらかの理由があって学校で傷つき、離れざるを得なかった子たちです。
昨年7月にオープンした小学生専用のフリースクール「みらいゲート秋葉原」によれば、今年の連休明けから問い合わせが増加。5月の第4週以降は「毎日のように連絡がある」と職員は語っていました。
このように6月は、いじめや不登校が増えていく時期だと言えそうです。
今年の6月、特に心配な子どもの異変。前触れに気づいたときに参考になるのが「TALKの原則」。精神科医の松本俊彦さんは「はっきり尋ねること」そして「傾聴すること」が大事だと言います。
今年の6月に注意すべきだと…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル