宮城県の蔵王山麓(さんろく)の森の中。イノシシが掘り返し、芝がはがれ、存続が危ぶまれた「伝説」のラグビー場がある。かつて大学生たちが力を合わせてつくったこの場所を、なんとかよみがえらせようと駆け回る人たちがいる。
話は半世紀以上も前にさかのぼる。
同県蔵王町にグラウンドが完成したのは、1971年のことだ。
作ったのは東京都内のラグビーチーム「くるみクラブ」。中央大学講師だった桑原寛樹さんの体育授業でラグビーを経験した学生らが、65年に結成したチームだ。上意下達を排し、自由と自治を重んじる桑原さんの型破りな指導の下、他大学も含む多くの若者が集い、強豪に育った。
自前のクラブハウスとグラウンドを持ちたいと選んだのが、蔵王の地。森林組合から土地を借り、合宿所建設などは学生が担い、資金はアルバイトや寄付でまかなった。最盛期は200人ほどが所属。春夏と蔵王合宿を重ね、夜はキャンプファイアを囲み、地元との交流も生まれた。
だが、時は移ろう…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル