杉山歩
総務省は14日、SNSや検索サービスの大手事業者に対し、利用者の情報をどの国で保管しているかなどについて公表を義務づける方針を示した。自分の情報がどう扱われているかを理解したうえで、利用者がサービスを選べる環境を整える。来年の通常国会に提出する電気通信事業法の改正案に盛り込む方向だ。
同日にあった有識者の検討会で説明した。各事業者に、利用者の情報を保管するサーバーをどこの国に置いているか、情報を扱う業務をどこの国の業者に委託しているかなどを含む情報の取り扱い方針を公表させる。
対象は国内の利用者(アカウント数など)が1千万人以上のサービスで、大手のSNSやグーグル、ヤフーなどの検索サービスのほか、携帯電話会社なども含む。国内の事業者によるサービスだけでなく、ツイッターやフェイスブックも対象とする。一方、検索サービスは分野横断的なものが対象で、旅行やグルメなど特定の分野に限定されたものは含めない。
LINEの問題受け対策検討
今春、対話アプリ「LINE」で利用者の情報を保管する国内のサーバーに中国企業からのアクセスが可能になっていた問題が発覚したことを受け、同省が対策の検討を進めていた。中国には企業に諜報(ちょうほう)活動への協力を義務づける「国家情報法」があり、LINEが利用者への説明を十分にしないまま、そうした状況を放置していたことが問題視されていた。
SNSや検索サイトを対象にするのは、SNSでの投稿が実質的にはメールのような通信サービスになり得る場合があることや、個人の思想や嗜好(しこう)にかかわる検索履歴の膨大な蓄積が広告などに使われている点を重視して判断した。違反には業務改善命令などの措置がとれるようにする。
個人情報の取り扱いをめぐっては、来年4月に全面施行される改正個人情報保護法でも規制が強化される見通しだ。外国の第三者に情報を提供する場合は、相手国の個人情報保護の制度などを説明し、利用者に同意を得ることなどを求める内容が盛り込まれている。(杉山歩)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル