伊藤和行 小野太郎 渡辺丘 成沢解語 聞き手・渡辺丘
陸上自衛隊員10人が乗ったヘリコプターが消息を絶った沖縄・宮古島を含む南西諸島では、自衛隊を増強する「南西シフト」が進められてきた。事故から13日で1週間。住民は行方不明の隊員を案じつつ、深刻な事故に不安を募らせる。防衛省内でも、防衛戦略への影響を懸念する声が上がっている。
「ショックです。早く見つかってという言葉以外出てこない」。宮古島市の看板店会長の垣花健志さん(72)は言う。宮古島への自衛隊配備を推進してきた元市議の一人で、2年前から地元の自衛隊協力会会長を務め、自衛官募集も担っている。
事故4日前の4月2日には、陸自石垣駐屯地の開設記念式典に宮古島駐屯地の幹部らと出席し、食事もともにした。その幹部が今回のヘリに搭乗していたと聞いている。「なぜ突然消息を絶ったのか。分からないことばかり。住民の不安は高まっており、ちゃんと明らかにしてほしい」と話す。
宮古島に陸自駐屯地が開設されたのは2019年。沖縄本島との間の海空域では、中国の艦艇や航空機の往来が相次ぎ、防衛省は警備部隊とミサイル部隊などの計約700人を常駐させた。沖縄本島に次ぐ多さだ。
当初、住民には「小銃弾や発煙筒など」を保管すると説明したが、21年には地対艦・地対空ミサイルなどの弾薬が運び込まれた。今後、政府が昨年末の安保関連3文書で明記した敵基地攻撃能力(反撃能力)がある長射程ミサイルが配備される可能性があり、住民に不安が広がるなかで起きた事故だった。
駐屯地の向かいでメロンやサ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル