真言律宗の総本山で南都七大寺の一つ、奈良・西大寺(さいだいじ)は伝統行事「大茶盛(おおちゃもり)」で、特大の直径約40センチの茶わんを使った回し飲みをやめることを決めた。新型コロナウイルスの感染対策で、4月以降は参加者がそれぞれ直径約20センチの茶わんで飲む形になる。鎌倉時代に始まったと伝わる回し飲みが新型コロナでかたちを変える。
西大寺によると、鎌倉時代の僧の叡尊(えいそん)が西大寺を復興したお礼に鎮守社の八幡神社に茶を献じ、あまった茶を民衆に振る舞った。これが大茶盛の始まりとされる。当時、茶は薬として飲まれ、大きな鉢やたるで回し飲みしたと伝わる。
江戸時代には直径20センチほどの茶わんを使った。江戸後期の絵図に大勢で茶わんを取り回している様子が描かれている。先の大戦のころに大茶盛の規模が縮小されたが、戦後、三千家の一つの武者小路千家の協力で復興した。徐々に大きい茶わんが使われるようになり、今では大きいもので直径約40センチの茶わんを使う。毎年1、4、10月に催している。
回し飲みは、一つの茶わんでたてた同じ茶を、集まった人たちが一緒に飲むことで心を合わせられる「一味和合(いちみわごう)」の理念の実現につながるという。
「続けることに意味」
コロナ禍の昨年は4月と10月…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル