大分県津久見市が知名度アップのため昨年10月に制作した動画が、優れた地方のCMやPR動画に贈られる2019年の「ぐろ~かるCM大賞」特別賞を受賞した。動画は老朽化した市庁舎を恐怖の「おばけ屋敷」に見立てており、主催する「ぐろ~かるCM研究所」(東京)は「大胆に自虐することで窮状をユーモラスに伝えている」と評価した。
津久見市役所は県内の自治体庁舎で最も古い1958年の建設。廊下は昼間でも薄暗く、雨漏りしているところも。耐震性にも問題が指摘されている。
動画は公園で遊ぶ小学生に招待状が届くところから始まる。子どもたちが「おばけ屋敷」となった庁舎を巡る中で、みかんやマグロ、貝など市の特産品や魅力がPRされ、ふるさと納税を呼び掛ける内容となっている。動画は約4分で、動画サイト「ユーチューブ」で22日現在、約6600回視聴されている。
CM大賞は同研究所が15年から実施。今年は181本が対象となり、大賞2本、特別賞5本が選出された。津久見市の受賞理由で、同研究所は「ポップでホラーなストーリーに引き込まれる。アイデアが秀逸」と指摘。同研究所の鷹野義昭所長は「古い市役所を嘆いても仕方がなく、逆手に取って市役所を取り上げる勇気があった。市民の方々が市役所に目を向ける機会にもなった」と説明した。
市は動画によってふるさと納税を増やし、新庁舎の建設費に充てたい考え。19年度の同市のふるさと納税は既に、18年度(約4200万円)の倍近くになっているが、同市の関係者は「建設費にはまだまだです」としている。(稲田二郎)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース