学校の経営状況について説明を求め、教職員が11日にストライキした和歌山南陵高校(同県日高川町)。生徒の保護者が取材に応じ、子どもにとって同校はようやく見つけた「居場所」だと語った。その場所を守っていくために保護者としても、運営法人に対し、学校の現状とこれからについて早期の説明を求めている。
全校集会で「授業をできなくてごめん」
――ストライキをどのように受けとめましたか。
それほどまでに先生は追いつめられていたのかって。ツイッターなどには「生徒のことよりも自分たちの都合を優先した」みたいな声がありますが、先生の生活に安心がなければ、子どもたちが安心できる学校をつくれないと思います。「聖職者なのに」をふりかざしてストの背景を無視することは子どもたちのためになるのでしょうか。
先生にとってストは学校の実情を知ってもらう最後の手段だったのだろうとも思います。世間の反感を買うことは分かっていただろうし、なにもしなければ現状を変えられないしと悩み、いまは分かってもらえなくても「いつの日か」にちいさな望みを託して踏みきったのでしょう。
子どもたちは、そうした先生たちの心境に気づいていると思います。私の子どもは「先生がかわいそう」と言っています。(料金の滞納で学校寮の)ガスをとめられたけど、「銭湯に行けてよかった」って言う子もいます。ストがあった11日に先生が全校集会で言った「授業をできなくてごめん」の言葉に、生活の苦しさを率直に打ちあけた言葉にうそがなかったからだと思います。
――和歌山南陵はどういう学校ですか。
私の子どもにとってはようやく見つけた居場所です。ここは「強い子」ばかりの学校ではありません。私の子どもがそうなのですが、中学のときにしんどいことがあって各地から集まっているんですね。その子どもが「先生が大好き」と言うのは、先生の熱意のおかげやと思う。ここの先生は、子どもをテストの点数で見ていない。できなくても勉強をしようという意欲を見ている。南陵に通う前は学校の話題は私からの一方通行だったのに今は子どもとのキャッチボールになっています。親の私でも聞けていなかった子どもの声を先生が聞いているからなんでしょうね。
――子どもの様子はどうですか。
私の子どもが特に心配しているのは秋の修学旅行がどうなるのかということみたいです。子どもにはほんまに楽しみなことですから。
親の立場で想像すると、修学旅行って学びの場そのものだと思います。話をしたことがない同級生とおしゃべりをして、それで友だちになって、先生に怒られるかもしれないけれど夜遅くまで起きて、電気がついたままだとねむれない子がいて、そのことに気づく同級生の優しさに気づいて、先生も子どもたちの素顔を見ることができて……。
この修学旅行への子どもの不安に学校法人の経営者は思いをはせてほしい。
「説明する」=「子どもの命を守る出発点」
――運営法人に求めることはなんですか。
みんなを対象にした説明会を…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル