アニメ「めぐみ」の全国公立小中高校での活用が低調だ。活用以前に上映の実態を把握していない自治体もある。ある日突然、何の落ち度もない人を家族と引き離し、普通に生きる幸せを奪う拉致は人権侵害そのものだ。国民が拉致被害者と家族の思いを共有しなければならない。
そのためにも義務教育をはじめとした学校現場での学習は欠かせない。
人権侵害の主体が外国にある「拉致」は被害者の救出はもとより、責任の糾明、賠償など早期の救済措置が困難な側面もある。だからこそ、外交交渉の主体となる政府を後押しする国民の怒りという大きな追い風が必要でもある。
アニメ「めぐみ」はそうした現状をにらみ、若年層への問題の浸透や啓発の一環として制作された。横田めぐみさんの誕生に始まる約25分の物語には親子の愛情、拉致の非道性が凝縮されていて、感情移入もしやすい。
政府は昨年末、各地の教育委員会の「指導主事」を対象とした研修を実施した。指導主事は、教員免許を持ち教員らに教室での指導方針を助言する役割を担う。
そこでは拉致問題を教育現場でどのように指導すべきかが真剣に議論されたが、同時に、外交や安全保障とも関わる「複雑な問題」をどのように伝えるか、悩む教育現場の姿も明らかになった。
「問題の説明に専門性が必要だ」と指摘した主事もいる。
教育現場では「日本人生徒の朝鮮人に対する憎悪を助長する恐れ」などと上映に批判的な声もあるが、その主張には事実誤認がある。拉致問題を含めた人権侵害をしているのは在日の人々ではなく、北朝鮮の政権だ。
そうした事実認識も含め、政府は教室で拉致を教える指導法まで踏み込んで、問題の本質が一線の教師に伝わるよう努力をすべきだ。(中村翔樹)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース