加速する防衛力の「南西シフト」に反対する集会が23日、那覇市の奥武山(おうのやま)公園陸上競技場であった。65の市民団体などでつくる主催の「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」によると、1万人が参加。各地の平和団体関係者らが活動を報告し、対話による平和を求める宣言を採択した。
沖縄では近年、自衛隊が駐屯地を与那国島や宮古島、石垣島に相次ぎ開設。防衛力強化を目的に空港や港湾の整備も検討される中、危機感を抱いた複数の市民団体がまとまり、昨年末の安保3文書の閣議決定を機に集会の準備を進めていた。
若者世代代表の桑江優稀乃さん(26)=那覇市=は沖縄で進む自衛隊のミサイル部隊配備などを念頭に「安心して生きていける島ではなくなってしまっている。世代や背景、価値観は様々でも平和を望む点で私たちはみんな同志だ」と訴えた。
玉城デニー知事も登壇し、「沖縄戦の歴史があり、米軍の施政権下で人権が蹂躙(じゅうりん)され、復帰から51年経った沖縄になお日本全体の70%余りの米軍基地面積を押し付けられている不条理を正していかなくてはならない。私たちが求めている平和の思いを全国、全世界で共有するために行動しましょう」と訴えた。パレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエル軍の攻撃で多くの犠牲者が出ていることにも触れ、「逃げる場所すらない人々の表情に大きな憂い、危機感を感じている」と述べた。
集会では「政府に対し、平和外交に徹し問題解決を図るべきであることを強く訴える」との宣言を採択した。
東京や大阪など各地でもこの日、同様の趣旨の集会が開かれた。(棚橋咲月、小野太郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル