「小豆 買います」
4年前の11月1日、朝日新聞など4紙の奈良県版に、そう呼びかける突き出し広告が載った。「奈良県産小豆は当社にとって大切な原料ですが、近年は作付けが減って確保が難しくなってきました。貴方(あなた)がお作りになられた小豆を当社にお譲りいただけませんか」と続く。
広告主は、奈良の三輪山の山裾に創業して約180年という「白玉屋榮壽(えいじゅ)」(奈良県桜井市)で、もなかの「名物みむろ」ひとつに絞った商いをしている。本店は、三輪明神の大鳥居の前に工場とともにあり、駅からの道すがら、あちこちに看板広告を見つけた。土地に根を張るお菓子であることがよくわかる。
「小豆 買います」という新聞広告を出したのは、奈良でもなか作りをする老舗和菓子店でした。なぜ出したのでしょう。取材すると、名物として育ててもらった地域への思いがありました。
新聞広告の理由を聞くと、石…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル