稲野慎、奄美通信員・神田和明
【動画】軽石漂流のシミュレーション=海洋研究開発機構提供
小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火でできた大量の軽石の影響が拡大している。
鹿児島県最南端の与論島(与論町)では、周囲23キロの島のほとんどの海岸や周辺の海に大量の軽石が漂着している。
町によると、漂着が始まったのは10月13日ごろ。その後も次々と押し寄せ、いまでは幅約100メートル、沖合50メートルほどまで軽石に埋め尽くされた海や、高さ50センチほどまで積み上げられた砂浜がある。軽石は大きいもので直径15センチほど。
10月23~24日、島の住民ら約100人がボランティアで海岸の軽石をとり除く作業をしたが、まだ大量に残ったままとなっている。
町が特に頭を痛めているのは、島全体に電力を供給する発電所用の重油を積んだタンカーが接岸できなくなっていることだ。
月1回程度、島西側の港湾に接岸し、パイプラインで発電所に重油を送っている。
10月25日に接岸したタンカーは取水口に軽石が入り、エンジンの冷却が不十分になって温度が上昇。故障を防ぐため、接岸後わずか30分で離岸しなくてはならず、結局、発電所には重油を補給できなかった。
町の担当者は「この状態が続けば島全体が停電する危険性がある。関係機関と協議して対策を考えたい」と危機感を募らせる。
島の漁協によると、10月中旬からほとんど出漁できていない。タンカー同様、船の取水口から軽石が入るとエンジンが故障する恐れがあるためだ。
11月からは漁協が販売の主…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル