2020年3月11日。東日本大震災から9年の月日が経った。【小笠原 遥】
毎年各地で特別な思いを抱きながらこの日を迎える人がいるが、なんだか今年は少し様子が違う。
新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、被災地で主催される予定だった追悼式は続々と中止が決まり、その多くが献花台に自由に花を手向ける方式に変更を余儀なくされた。また、国も追悼式の開催を取りやめた。
規模を縮小してでも継続することを決断した人もいる。
宮城県石巻市に住む黒澤健一さん。石巻市で今日開催される『東日本大震災追悼3.11のつどい』の実行委員会で委員長を務めている。追悼式開催までの経緯と、震災から9年の今改めて思うことを聞いた。
“完全中止はしない方向で行こう”、そう決めた理由
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍首相がイベントの開催の中止や規模縮小を要請したのは2月26日だった。
しかしそれ以前から、追悼式の実施については「中止」の判断を含め、すでに実行委員会で話し合っていたと黒澤さんは話す。
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もちろん、中止の検討はしてきました。
石巻市も追悼式を中止にして献花方式に変えると発表がありましたから。
ただ、いろんな想定をした上で、“完全中止はしない方向で行こう”と決まったんです。
たとえ無観客でも、実施する想定で有志で準備をしてきました。
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実際、イベントの規模は縮小した。
市民を巻き込んだワークショップの実施は取りやめ、恒例の灯篭も例年は来場者に直接メッセージを書き込んでもらうが、ウイルスの感染防止のため、事前に寄せられたメッセージをスタッフが代筆する。
全国的には今、イベントなどの行事の開催に対しては“自粛ムード”にある。実施という判断に、批判的な声や意見はなかったのだろうか。
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心配の声はありましたけれど、「なんでこんな時にまでやるんだ」みたいな批判の声は無かったですね。
全国的な自粛のムードとは、少し違うのかもしれません。
というのも、やっぱり3月11日って、ご遺族の方にとっては震災で失った大切な家族の命日なんですよね…。
政府は国主催の追悼式を中止しましたけど、そこにあえて、コメントはないですね。そもそも、想いを込める形は人それぞれですから。
でも、各地で追悼の催しが中止になっているからこそ、小さくても想いを込められる場所が「1箇所くらいあってもいいよね」と思います。
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実行委員会のメンバーは地域の人々で構成された約30人。決して大人数とは言えない人数で、その「想いを込められる場所」を絶やすことなく9年も作ってきた。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース