将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Cリーグ第3試合、チーム木村VSチーム康光が6月6日に放送され、大将戦でチーム木村・木村一基王位(46)がチーム康光・谷川浩司九段(58)との三番勝負で2連勝、2ポイントを獲得した。戦いを前にチームの予選敗退が決まる中でもモチベーションを切らさず、永世名人の有資格者である先輩棋士に快勝。チームとしては敗れてもなお、木村王位の強さを大きく印象づけた。
若手も上回るようなスピードの早指しと、確固たる強さ。飄々と話す姿とは裏腹に“中年の星”が、またも大きく強く輝いた。戦いを前に、予選敗退が決まっていても「目の前に盤と駒があって、相手がいれば最善を尽くすのがプロ」と気持ちを切らすことなく、谷川九段と盤を挟んだ。
第1局は、谷川九段得意の角換わりを堂々と受けて立った。迷いなく指し続けたことで、本来は徐々に減るはずの持ち時間が、一時は7分台まで到達。これには解説を務めていた屋敷伸之九段(48)も「夢の7分台到達。これは8分台も見えてきましたね」と、思わず笑みがこぼれるほどのスピード感だった。
もちろん闇雲に早指しをしているわけではない。角換わりのエキスパートに対して、力戦ではなく研究将棋でも、確実に対応。じわりじわりと優位に立つと、谷川九段に「フィッシャールールの時間のこととは違うことが原因」と戦意を喪失させて、勝利した。
第2局は、エンターテイナーとしての魅力も発揮した。早指しの中でも時間が短い超早指し戦ながら、選んだ戦法は「超速」。持ち時間だけでなく、将棋の内容でもさらに速度を求めた。ゴキゲン中飛車で対応してきた谷川九段にペースを渡すことなく、この対局でも快勝。ファンとしては予選で姿を消すことが、なんとも惜しいほどの強さを証明した。
個人戦だった第2回大会では、優勝した藤井聡太七段(17)ともフルセットの激闘をするなどベスト4入り。今回も、個人の成績としては、三番勝負2回でともに勝ち越し、通算4勝1敗と十分過ぎる結果を残した。「次?機会があれば、また出たいなという思いです」。まだ第3回大会も予選の途中だが、第4回大会に木村王位が出るとなれば、ファンはその雄姿をきっと見に来る。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース