大阪府茨木市のインターナショナルスクール「コリア国際学園」(KIS)の学園長を務める詩人の金時鐘(キムシジョン)さん(92)=奈良県生駒市=が6月、同校に通う中高生らに自らの人生を語る特別授業をした。植民地朝鮮で生まれ育った金さんは、日本語を「母語」として習った少年期を振り返った。
金さんは1929年に釜山で生まれ、49年に済州島から日本へ渡った。日本語の詩作や批評を手がけ、2015年に『朝鮮と日本に生きる』で大佛(おさらぎ)次郎賞を受けた。
6月28日にあった授業は、金さんら朝鮮人の子どもが通っていた済州島の小学校での話から始まった。途中から朝鮮語の科目が消え、会話も禁じられた。「普段はとても優しい」日本人の教師は朝鮮語を使った子どもを竹のムチでたたいたという。
「私は先生の言いつけをよく守る生徒だったので、朝鮮語を使う友だちは駄目だなと思っていた」が、金さん自身も日本語の使い方を誤ったことで校長から激しく殴られたことがある。
殴られても「陛下の赤子になるお仕置きだ」と思っていた
「でも、私は一つも恨みがましいと思いませんでした。『天皇陛下の赤子(せきし)になるためのお仕置きをいま私は受けたんだ』と思ったくらいです。教育というものは本当に怖いものでね」
この春にできた「K-POPコース」で話題を呼んだコリア国際学園で、92歳の「在日詩人」が語った言葉とは――。「皇国少年」だった朝鮮人の少年は、日本による植民地支配からの解放で突然、「母語」として教わった日本語を失います。後半では、日本語を失い、なぜ苦悩したのかを描きます。
創氏改名についても、「日本…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル