原知恵子
札幌・すすきののホテルの一室で男性(62)が殺害されて頭部が持ち去られ、死体遺棄などの疑いで田村瑠奈容疑者(29)と両親の修容疑者(59)、浩子容疑者(60)=札幌市厚別区=が逮捕された事件。3人が住んでいた家では24日から道警による家宅捜索が続いており、一家を知る地域の人たちは大きなショックを受けている。
「『どれだけ凶悪な家族なんだ』と想像する方が多いと思うんですが、決してそんな印象はありません」
浩子容疑者と交流があった70代女性は、自宅の庭先に伸びるノブドウを見つめて、4年ほど前のやりとりを振り返った。
浩子容疑者は植物好きで、自宅の「コンテナガーデン」で草花を育てていた。女性が容疑者宅で見かけたノブドウについて「きれいね」と声をかけると、「あら、あげるわよ」と穏やかに返された。
季節が巡り、話したことも忘れたころ、浩子容疑者が小さな鉢を持って訪ねてきた。あのノブドウの実から種をとり、芽が出るまで育てた苗を譲ってくれるという。女性はそれを大切に育て、「大きくなったから見に来て」と手紙を出すと、かわいい便箋(びんせん)と封筒で返事が届いた。
最近、一家に気になる変化を感じた。自宅前は雑草などで荒れ、以前のように草取りや手入れをする様子を見かけなくなった。「彼女らしくない」と感じていたという。
植物や生き物、趣味の絵画の話をよくしたという80代女性は昨年、飼っていた水生昆虫ゲンゴロウを浩子容疑者に譲った。後日、世話をしたゲンゴロウを夫の修容疑者と池に放しに行ったと報告してくれた。
「夫婦とも温厚だった。何があったかわかりませんが、とにかく悲しい」と語った。(原知恵子)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル