新型コロナウイルス感染症対策の政府の専門家会議は3月9日、最新の見解を発表し、「満員電車」について、条件が揃えば感染要因(クラスター)になり得ると初めて言及した。【小笠原 遥】
満員電車に対しては、感染要因として懸念の声が多く上がっていたが、政府のこれまでの公式見解では具体的に挙げられたことはなかった。
政府は9日の専門家会議で、「新型コロナウイルス感染症のクラスター(集団)発生のリスクが高い日常生活における場面についての考え方」と題した書面を公表した。
これまでに新型コロナウイルスの感染が確認されたケースに共通する点として「1.換気の悪い密閉空間2.人が密集していた3.近距離での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場」とし、このような場では、より多くの人が感染していたと考えられると説明。
そのような場所の具体例として、屋形船、スポーツジム、ライブハウス、展示商談会、懇親会などが挙げられていた。
条件が重なれば「満員電車」も感染クラスターに。
今回公表された見解では、「満員電車」についても、感染が起こりうる空間になり得ると初めて指摘された。
上述した“3つの条件”がすべて重ならなくても「1つないし2つの条件があれば、なにかのきっかけに 3 つの条件が揃うことがあります」と前置きした上で、以下のように説明した。
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例えば、満員電車では、1.(換気の悪い密閉空間)と2.(人が密集していた)がありますが、3.(近距離での会話や発声が行われた)はあまりなされません。しかし、場合によっては3.が重なることがあります。
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加えて、満員電車のほか野外でのスポーツについても以下のように言及した。
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例えば通常の野外スポーツをしている際には3つの条件は揃いませんが、着替えやミーティングにおいては1.から3.の条件が重なることがあります。
そのため、3 つの条件ができるだけ同時に重ならないようにすることが対策となります。
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満員電車をめぐっては、列車自体が感染源になることや乗客を通じての感染拡大を防ぐため『時差通勤』などの取り組みが実施される中、「なぜ満員電車について、政府は何も触れないのか」「学校は臨時休校の対応で、人混みは避けるようにと言っておきながら、満員電車には言及がないの?」などと、疑問の声も出ていた。
また政府は、不特定多数が参加するイベントについても改めて言及。
イベントの開催については「感染拡大のリスクが高いだけでなく、クラスターが発生したときに感染源の特定、接触者調査が困難となり、クラスターの連鎖につながるリスクが増します」と説明した上で、「可能な場合には、あらかじめ参加者を把握できているほうが感染拡大のリスクを下げることができます」と主催者側に呼びかけていた。
小笠原 遥/Haruka Ogasawara
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