最大震度7を観測した能登半島地震の死者が9日、200人を超えた。石川県が発表した。発災直後に大規模火災が起きた輪島市の「輪島朝市」周辺の焼け跡では、警察や消防による行方不明者の大規模な捜索も行われた。より安全な避難所に高齢者らを移す動きも本格化している。
県によると、9日午後2時時点の死者は前日より34人増え、202人に上った。県は、珠洲市で発生した災害関連死6人も含まれるとしている。
災害関連死は地震や津波で亡くなる「直接死」とは別に、災害による負傷の悪化や、避難生活の負担による疾病で亡くなること。今回の地震での災害関連死の発表は初めてとなるが、同市は死亡の原因について「地震なのか、ご本人の病気の関係なのかはっきりしない。暫定的に発表した」(金田直之・同市副市長)としている。
地震のためと断定できないが連絡が取れない安否不明者は102人となった。
15市町に開設された404カ所の避難所には計2万6千人以上が身を寄せるが、断水や停電が広域で続き、環境悪化が懸念されている。
県は、旅館やホテルを「2次避難所」として活用するまでの「1・5次避難所」として、ライフラインに問題がない金沢市内の大型体育館を用意。この日、一部の被災者が到着した。
自治体が借り上げたホテルや旅館などの「2次避難所」(9日時点で168施設)の受け入れも本格化している。
人や物資の輸送が難しい孤立集落は2市1町の計22地区で3123人にのぼっている。
被災地への物資支援のため、政府は同日の閣議で、今年度予算の予備費から47億4千万円を支出することを決めた。
閣議後の非常災害対策本部会議で、岸田文雄首相は「(被災地の要請を待たない)プッシュ型支援を加速させるため迅速に執行し、被災地の状況改善に充ててほしい」と述べた。
政府は別途、復旧・復興対策に備えるため、新年度当初予算案に盛り込まれた予備費を今の5千億円から1兆円に倍増させる方針。自治体による復旧事業に国庫補助率の引き上げなどの特例措置を適用するため、能登半島地震を「激甚災害」に指定する方針も示している。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル