埼玉県熊谷市立吉見保育所で不適切な保育が発覚した問題にからみ、同市は22日、所長と保育士から「心理的虐待」を受けていた児童が0~6歳児の19人にのぼり、所長による身体的な虐待もあったことを新たに確認したと発表した。
市が同日開いた会見で明らかにした。
市保育課によると、女性所長(51)と主任保育士の女性(49)は2022年ごろから、19人に「あのバカ頭」「全部DNA」「牛舎みたいなにおい」などの暴言を浴びせていた。他の保育士4人も同調するなどしていたという。
さらに、所長が今夏、2歳女児の脚を平手でたたいたことが、複数の保育士の証言から判明した。所長は身体的虐待について、市の調査に「覚えていない」と話しているという。
新藤守治課長は「(組織の)風通しの悪さが要因の一つ」と見解を述べた。
市は昨秋、保育士の一人から「所長の指導が厳しい」と通報を受け、同課が「パワハラにつながる恐れがある」として所長を指導したという。新藤課長は「厳しい指導をする所長のもと意見が言いづらい状態だった」とし、その後も所長の職を務めさせていたことについて「対応が甘かった」と話した。
調査は今後も続け、年度内の全容解明を目指すという。また、再発防止のため全12市立保育所へのカメラの設置や保育士への研修強化などに取り組むとした。
市は11月末に保護者らからの通報を受けて調査を開始。虐待行為を確認した所長と主任保育士の2人を、今月6日に業務から外した。来年1月1日付で保育課付に異動させる。
吉見保育所は0~6歳児の59人が通っている。(猪瀬明博)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル