真実を知りたい。
でも、知りたくないことまで分かってしまうかもしれない――。
両親と血のつながりがないことを高校生の時に知った男性(26)は、大学1年生の後半から2年生にかけて、悩み苦しんだ。
忘れたつもりでも、うまくいかないことがあると「一度捨てられてるし」という思いがよぎる。分からない過去をあれこれ想像しては、また悩んだ。
「こんな非建設的な思考は、何も生み出さない」。やがてそんな思いが膨らんだ。
2016年、20歳になるころ、気持ちに踏ん切りを付けた。
「前を向きたい。そのために、知ることのできるすべてを知りたい」
戸籍も「養子」「養女」ではなく「長男」「長女」などと記され、実親の名前は記されない。
それでもインターネットで調べるうち、戸籍をたどることができるとわかった。
3月、まず自分の戸籍を取り寄せた。本籍地はさりげなく親に聞いた。
郵送で届いた戸籍には、身分…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル