判決後、原告の一人、浅井勝也さん(80)は「長らく闘ってきてよかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
熊本市内で居酒屋を営んでいた浅井さんは60代半ばに、長時間労働の影響で頸椎(けいつい)を損傷。全身にしびれが広がり、店を閉じざるをえなくなった。赤字経営が続いていて貯金もほとんどなく、生活保護を申請しようと決めた。だが、店の常連には市職員も多く「(受給は)恥ずかしいという気持ちもあった」と明かす。
2013年から段階的な引き下げが始まり、月々の生活保護費は約1万4千円減った。若いころ、お金がなく保険料を支払えなかったため、公的年金は受け取れない。現在の生活保護受給額は月9万4千円で、家賃や光熱費、食費を引くとほとんど残らない。唯一の楽しみだった晩酌も何年もしていない。
今回の裁判で、そういった自らの苦しい生活について証言した。被告となった自治体側からは、生活費の使い方などについて厳しく追及されることもあった。
「恥も外聞も捨て、実態を話…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル