自民党の河井克行前法相(衆院広島3区)の妻案里氏が初当選した昨年7月の参院選を巡り、河井夫妻が公示前、広島県内の同党所属の県議や広島市議、元地方議員らに票の取りまとめを頼む趣旨で現金を渡した可能性があるとして、広島地検が本格的な捜査に乗り出したことが27日、分かった。地検は、各地域に支持基盤を持つ地方議員らに現金を配って支援の拡大を図ったとの見方を強め、公選法違反(買収)容疑での夫妻の立件も視野に慎重に裏付けを進めているとみられる。
地検は今月3日、案里氏陣営の車上運動員に法定を超える報酬を払ったとして案里氏の公設第2秘書らを公選法違反容疑で逮捕。夫妻の事務所や自宅など関係先から資料を押収するなど捜査を進めた。24日に2人を起訴しており、今後は、より悪質な選挙違反と指摘される、票固め目的の買収行為があったかどうかの捜査に力を入れるとみられる。
県内の幅広いエリアの複数の現職議員や元議員が中国新聞の取材に対し、地検の任意聴取に応じていると認めた。いずれも、参院選を巡り河井夫妻から現金を受け取ったかどうかを聴かれており、「受け取っていない」などと答えた議員がいる一方、複数の現職議員は数十万円を受け取ったことを認めた。
これまでの中国新聞の取材で、複数の県議が参院選に先立つ県議選(昨年3月29日告示、4月7日投開票)の期間中、案里氏が「当選祝い」「激励」などの名目で事務所などに現金を持ってきたと証言。案里氏は同3月中旬、参院選広島選挙区の候補者として党の公認を得ており、現金が入ったとみられる封筒を示された県議の一人は参院選での支援を期待した行為だったと受け止める。案里氏のこうした行為は公選法が禁じる買収の申し込みや寄付行為に当たる可能性がある。
案里氏陣営を巡っては、克行氏が参院選の公示前、自身の選挙区である衆院広島3区内の後援会幹部に現金を直接渡した疑いも浮上。幹部には元地方議員も含まれ、複数人が地検の任意聴取に現金の受け取りを認めている。地検は票のとりまとめを意図していた疑いがあるとみて、捜査を進めているもようだ。
中国新聞社
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