おしゃれで異国情緒あふれる港町・神戸。全国的にも知名度の高い都市だが、中心地のJRの駅は「神戸」ではなく「三ノ宮」。再開発で新たなビルが立ち並び、JRのほか阪急、阪神などの6路線が乗り入れるターミナル駅として栄えている。なぜ神戸の中心駅は「神戸」ではないのか。背景には街の発展の歴史的な経緯があった。
「神戸の中心地の最寄り駅はどこですか?」
阪神電鉄には、10年ほど前からそんな問い合わせが寄せられるようになったという。同社は2009年に近鉄と相互乗り入れを開始。奈良や名古屋までつながった。当時、最も中心街に近い駅は「三宮」。だが遠方の利用者の中には約2キロ西の「高速神戸」駅を中心と思う人もいたようだ。
実は、阪急電鉄と阪神の「三宮」駅は、開業当初は「神戸」駅だった。阪神が1912年に、阪急は68年に、それぞれ「神戸」を「三宮」に変更した歴史がある。阪神は戦争で資料が焼失したため経緯は不明。阪急は阪神や神戸電鉄とともに出資する神戸高速鉄道が開通して高速神戸駅ができたことを理由にあげる。「神戸駅が二つになるのを避けたのではないか」(広報)という。
阪急は2013年、阪神は14年に、神戸の中心駅だと分かりやすくするため、それぞれ「三宮」駅を「神戸三宮」駅に改名した。
神戸の中心にはない「神戸」駅。その謎を解くためには、歴史をひもとく必要がある。
神戸の歴史や生活文化に詳し…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル