その形見の「金の指輪」を初めて見せてもらったのは、2023年夏だった。
革命を夢見た若者たちが引き起こした1972年の連合赤軍事件で、犠牲になった遠山美枝子(当時25)が亡くなる直前までしていたものだ。
この指輪がきっかけで彼女は仲間に「総括」と称した集団リンチを受け、亡くなった。遺体は雪深い榛名山(群馬県)のふもとに埋められた。
「これは美枝子なんです。やっと帰ってきてくれた……」
美枝子の双子の姉(77)はこう言いながら、白いレースのハンカチでくるんであった指輪をバッグから取り出し、テーブルの上に置いた。
撮影のために手に取り、自分の右薬指にはめようとしたが、入らなかった。指のサイズは7号前後か。内側に18金の刻印があるその指輪は傷一つなく、光を放っていた。
遺体になかった指輪の行方は?
働きながら大学へ通った真面目な女性がなぜ、仲間に殺されたのか?遺族の証言、加害者との間で取り交わされた膨大な手紙から紐解きます。
指輪は、母が横浜市内の板金…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル