職員研修で「腐ったミカンは置いておけない」などと人格を否定する言葉で執拗(しつよう)に退職を迫ったのは違法だとして、学校法人追手門学院(大阪)の男性職員ら3人が近く、学院理事長や研修を請け負ったコンサルタント会社などに総額約2200万円の損害賠償などを求める訴えを起こす。
原告代理人の谷真介弁護士によると、3人が求めるのは、それぞれ慰謝料500万円を含む1人564万~998万円の損害賠償など。うち1人は「休職期間満了で解雇されたのは不当」として、職員の地位確認も求める。
原告側の訴えによると、学院は2016年8月、「求められる職員像に達していない」として、3人を含む18人に「自律的キャリア形成研修」(5日間、計40時間)を受講させた。
研修はコンサル会社・ブレインアカデミー(東京)が請け負ったが、学院側は研修の冒頭、「ブレインアカデミーとの間で研修内容を精査した」と説明。そのうえで、ブレインアカデミーの講師が「17年3月末で学院から退いていただきたい」と述べたとされる。
講師はさらに、「あなたのように腐ったミカンを追手門の中に置いておくわけにはいかない。まだ少しは可能性があって頑張ろうとしているミカンも腐ってしまう」「あなたにはもうチャンスがない」などと人間性を否定する言動で繰り返し退職を迫った、という。
その後も3人は学院幹部との面談で退職を迫られ、うつ病などを発症、悪化させ、休職を余儀なくされたと主張。うち1人は川原俊明理事長同席の面談で「退職勧奨をやめていただきたい」と言うと、川原理事長から「とことん変わってくれへんかったらいらんよ」「もう今後、退職勧奨をやめてください? あほなこと言わんといてくれ」と告げられたという。
男性はその後の面談で、「視野が狭い」「思考が浅く幼い」などと書かれた「退職勧告書」を読み上げられた。
19年6月、研修がパワーハラスメントにあたる可能性があると朝日新聞が報じた後、学院はホームページに「外部講師の発言とはいえ、報道された不適切な発言は決してあってはならないと認識し、研修を委託した本学院の責任を強く感じております」と掲載した。
学院は今回の取材に、「厳粛に受け止め、二度とこのような事態が起こらぬよう努め、学校運営全般についても問題点がないか厳しく点検して進んでまいります」と文書で回答。後日、川原理事長の発言に関する取材には、「個別の案件については、係争の可能性があることから回答は差し控えさせていただきます」と文書で回答を寄せた。
ブレインアカデミーは文書で「コメントを差し控えさせていただきます」と答えた。
「パワハラ言葉」のシャワー浴びせられた
「人を育てる教育機関のあり方として許せない」。原告となる3人は学院の研修後に体調を崩し、4年たった今も、不眠や抑うつ状態などで苦しんでいる。
「5日間40時間にわたる研修…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル