現場へ! もっと地震に強く②
「地震の後、すぐに逃げ始められるように家具の固定をしていますか」「していない理由を教えてもらっていいですか」
6月、高知県黒潮町で中学生たちが高齢者宅を訪ねて回った。コロナ禍を経て4年ぶりの訪問活動。家具の固定や避難訓練の参加状況を尋ね、各戸の津波到達までの時間を伝えた。
家具の固定状況を集計すると、3分の2が未固定だった。枕元に棚がある、一人暮らしで固定作業が困難など、様々な課題が浮かび上がってきた。
黒潮町は2012年に公表された国の南海トラフ地震の想定で、最も高い最大34メートルの津波が見積もられた。この10年あまり、迅速な避難に向けた取り組みが進められ、避難タワーなどの施設も一通り整備された。
しかし、津波の前には激しい揺れが襲う。最大で震度7。家具の下敷きになったり、家がつぶれたりしては津波から逃げることもできなくなる。
「今、最も取り組まなければいけないことの一つが耐震」と町情報防災課の村越淳課長(50)は言う。家具固定費用の補助は2年前に1万円から3万円に増額、費用の半額までだったしばりをなくしている。中学生の調査も対策に生かすという。
黒潮町は、住宅の耐震改修が急増したことで知られる。補助の件数は14年度で13件だったのが毎年百数十件になった。「耐震診断を受けても工事に進んでいない人もいる。さらに働きかけを加速していきたい」
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル