岸田文雄首相が現職首相として初めて出席した衆院政治倫理審査会(政倫審)が、2日間の日程を終えた。政治や企業統治に詳しい識者や社会起業家、元国会議員の目に、政倫審はどう映ったか。
社会起業家の石山アンジュさん 10~20点
自民党派閥で慣行化していた裏金について、誰が、いつ、どのように指示を出したのか、問題の根源に迫れないと改革はできない。改革の入り口としての政倫審だったが、結果として何も得られなかった。
期待値が低いところからのスタートであったことを考えれば、岸田首相自らが出席を表明したことは評価できる。
ただし、国会の審議とほぼ同じ内容を繰り返していた印象で、他の5人を出席させたこと以外に首相出席の意味を見いだせなかった。むしろ期待させたことで、マイナスのイメージに働いた面もあったのではないか。
他の出席者についても派閥の責任に踏み込まずとも、冒頭で虚偽の記載や裏金化していたことを認めて、謝罪していた。その点は評価できなくはない。
法的強制力がある場で議論しないと難しいかもしれないと思う一方で、メディアの取り上げ方にも疑問を感じた。出席するか否か、公開するか否かばかりに注目が集まっていたが、国民からすると実態解明できるのか、改革できるのかどうかの方が大切だ。
一番追及すべきは裏金が組織のシステムとして作り上げられていたのかどうかだ。
若者の声を届ける仕事をしていて思うのは、志があって社会を変えたい若者がいても、お金を積まないと選挙に勝てない構造の中で、それに従わなければならない、または機会が巡ってこない状況があるということだ。
強い派閥に入って金を積めば積むほど、能力に関係なく選挙に勝ててしまう構造がある。派閥と裏金の問題を明らかにしていく中で、そうした構造を立て直さなければならない。
改革の先にあるのは、利権政治との決別であり、能力主義かつ公平な政治。それがお金がなくとも能力で評価され、多様な考えを採り入れて意見を述べられる政治家を増やすことにつながる。
民主主義を監視するのは私たち有権者だ。ただ前回の選挙の際に、裏金化していた議員を見抜けたかと言えば、難しい。だからこそ、民間で領収書を電子化するなど工夫しているように、政治の側でも裏金化をさせない改革を進めるよう圧力をかけていく必要がある。
収支報告書をはじめ、お金の流れを透明化して管理する部分については与野党みながやる話だ。与党批判に終始しているように見える野党も改革の議論を詳細化していくべきだ。(聞き手・小早川遥平)
元自民党衆院議員の金子恵美さん 50点
元自民党衆院議員の金子恵美さん 50点
まず評価したい点は公開のあ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル