観測史上最も暑かった9月が過ぎ、ようやく秋の風が吹き始めた。でも、なぜか耳元でブーン。真夏に活動するはずの蚊だ。専門家によると、真夏の気温が高すぎて活動できず、秋になって活発になっている可能性があるという。「蚊」は秋の季語になってしまうのか。
「最近、ベランダで月見をしていたら刺された。夏はいなかったのに」。東京都中央区に住む男性(67)はドラッグストアにつるすタイプの虫よけを買いに来た。「まだ暑い日続きそうなので。子どもの頃は10月に蚊なんて信じられなかった」という。
この店では、入り口の目立つ場所に蚊の虫よけグッズが売られていた。店員の男性も「秋の主力商品ではないはずだが、まだ売れる」と話す。
殺虫剤を扱う「フマキラー」(東京)の広報担当者によると、暑さがピークとなる6~8月は蚊対策商品の売り上げが伸び悩んだが、9月に入り持ち直したという。「9月後半に蚊の商品が伸びるのはまれ」と驚く。
今年は「異常発生の可能性」 活動時期にズレも
殺虫剤業界全体での9月4週目の虫よけ剤や殺虫剤の売り上げは、前年の同じ週の143%。「ゴキブリやダニは8月で落ち着いているので、この伸びは蚊による可能性が高い」と担当者は推測する。
フマキラーによると、本州で人間をよく刺すのは「ヒトスジシマカ」。25~30度で活動が活発になり、35度以上で活動を弱めて木陰で休む傾向にあるという。
「害虫防除技術研究所」(千葉県)の白井良和所長によると、今年は各地で35度以上の猛暑日が続いたため、蚊も真夏の日中は活動を控えていた可能性が高いという。「猛暑で出歩く人も少なく、蚊自体も木の陰にいた。そのため、気温が落ちついた今、産卵活動が活発化しているのではないか」と分析する。
ヒトスジシマカの寿命は2週…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル