高木智也 華野優気
36人が死亡し、32人が重軽傷を負った京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件から、18日で2年がたつ。殺人などの罪で青葉真司被告(43)が起訴されているが、被告の健康状態や被害者の多さといった事件の特殊性もあり、初公判が開かれる見通しは立っていない。
事件は2019年7月18日に起きた。青葉被告も現場で大やけどを負い、専門治療を受けた。京都府警は一定の回復を待って昨年5月に逮捕した。京都地検は精神状態を調べるため、6カ月間に及ぶ鑑定留置を実施した。その結果、「刑事責任を問える」と判断し、昨年12月に起訴した。
裁判員裁判の開始に向け、京都地裁と検察、弁護側が争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きが実施される見込みだが、地裁によると、まだ1回目の日程も決まっていない。
要因の一つは青葉被告の体調だ。現在は寝たままの状態で入浴できる設備を新たに整備するなど、医療態勢が整っている大阪拘置所に勾留されているが、どの程度、裁判に耐えうる体調なのかは不透明だ。
精神鑑定も鍵となる。捜査関係者らによると、青葉被告は逮捕前、動機について「小説を盗まれた」と説明したとされるが、これまでの捜査でそうした事実は出てきていない。弁護側が再鑑定を求め、地裁が必要と判断すれば初公判はさらに遠のく。
16年に入居者19人が殺害された障害者施設「津久井やまゆり園」の事件では、初公判まで3年半を要した。鑑定留置に5カ月をかけたほか、公判前整理手続きに2年以上かかった。京アニ事件はさらに時間がかかる可能性もある。
遺族の一人は、被害者参加制…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル