9日、大阪府立西成高校では卒業式の後、3年3組の教室に特設ステージがつくられた。半円形に並べられたイスに教員約20人が座り、生徒たちが漫才を披露した。笑いの中心に、ヒデミツさん(18)がいた。
漫才をするなんて、考えたこともなかった。軽度の知的障害があり、「知的障がい生徒自立支援コース(自立支援コース)」で学んできた。人見知りをしないこと、時間を守ること、集中力を保つこと――。ヒデミツさんが、苦手なことだ。
「ともに学び、ともに育つ」を掲げる西成高校では、授業を別室で学ぶ特別学級を設けず、通常学級と同じ教室で過ごす。自立支援コースの生徒は学年に3人。就労と自立を目指し、ビジネスマナーや買い物の仕方などを学ぶ「自立学習」が毎週ある。担任とは別に、コーディネーターとして、楽慎次郎教諭(51)が支援している。
ヒデミツさんは1、2年生のころ、夕方になってから学校に来たり、数日間、学校を休んだりすることが多かった。「学校が面倒で、2度寝してしまうこともあった」とヒデミツさん。休み時間におらず、楽先生が探しに行くと、トイレの個室に閉じこもっていたこともあった。
そんなヒデミツさんは卒業する今、「西成高校は、僕が輝ける場所」と表現する。
先生と友達が、とっておきの「居場所」をくれたからだ。
■招かれた部室は「家みたい」…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル