実の親が育てられない子を「実子」として育てる特別養子縁組。国が年間1千件を目標に普及に努める一方で、成人した養子の当事者たちが制度の課題を指摘し始めた。孤立しがちな縁組家庭を社会で支える仕組みが必要と訴えている。
「僕は2歳ごろまで乳児院でお世話になって、一般夫婦と特別養子縁組しました」。1月下旬、都内の会議室。スーツ姿の男性(23)が約40人を前に、淡々と話し始めた。
経済的に恵まれた家庭の一人っ子として育った。両親は親戚以外との付き合いが少なく、しつけに厳しかった。高校生の時、父が怒った拍子に、実の子ではないと漏らした。特別養子縁組をした、誰にも言うな――。そう続けた。
母は「20歳まで言わない約束…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル