出版社から依頼を受け、警察の昇任試験対策問題集の執筆を許可を受けずに繰り返し、報酬を受け取ったとして、警察庁は12日、大阪府警の警視正(58)を減給10分の1(3カ月)、東北管区警察学校に出向している宮城県警の警視正(56)を戒告の懲戒処分にした。熊本県警は9日付で警視(56)を戒告の懲戒処分にした。3人は12日付で辞職した。
警察関係者によると、府警で懲戒処分を受けたのは野田哲治警視正で、東北管区警察学校は斉木弘悦(こうえつ)警視正。野田警視正の報酬額は平成22~30年で計約2千万円に上った。斉木警視正は24~30年に計約750万円を受領。2人は税務申告をしていなかった。このうち、それぞれ警視正昇任後の約880万円、約120万円が処分認定された。
熊本県警は猿渡(さるわたり)信寛(のぶひろ)警視で、25~28年に計約200万円の報酬を受けた。
3人は、5千円を超える報酬について報告を義務付けた国家公務員倫理法や、兼業を原則禁止している地方公務員法などに違反。斉木警視正と猿渡警視は、守秘義務違反に抵触しなかったものの、捜査手続きなどの内部資料を出版社側に渡していた。
調査に対し、野田警視正は「警察官に役立ててもらえるならば、と引き受けた」と話し、斉木警視正は「知人に頼まれ、他県でも執筆しているということで安易に引き受けてしまった」と説明している。
関係者によると、出版社は東京都港区の「EDU-COM(エデュコム)」で、同社から依頼を受けて全国の警察幹部らが問題集の原稿を執筆し、執筆料を受け取っていた。執筆料の単価は階級が上がるほど高く設定されていたという。
警察庁によると、懲戒処分の3人以外に、北海道、神奈川、千葉、埼玉、愛知、兵庫、京都、広島、福岡の9道府県警で、3人が訓戒、15人が注意の処分を受けた。18人は警視長から警部までの4階級で全員が事実を認めている。
問題は今年1月に発覚。警察庁は約460人の執筆を確認したが、回数が少なく定期的、継続的ではなかったと判断し、処分対象にならなかった。
警察庁は問題を受け、報酬の有無にかかわらず、執筆や講演などの活動をする際は届け出るよう指示。昇任試験の過去問題、解答についても部内で閲覧できるよう再発防止策を進める。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース