日本に働きに来た多くのベトナム人技能実習生がなぜ逃げ出し、どうやって暮らしているのか。背景にどんな問題があるのか。多くの失踪者を取材し、紙面とデジタルで報じた記事「失踪村」に多くの反響をいただいた。「コロナ禍で帰国できないまま、追い詰められている元実習生たちに」などと35万円以上のお金も届いた。報告を兼ねて、読者の声を紹介したい。
記事で紹介したNPO法人「アジアの若者を守る会」には、現金入りの手紙などが届いた。
「日本でこんな事があるのかとびっくり致しました。何かしないと(いけないと)思いましたのでペンをとりました」
奈良県の女性は手紙にそうつづり、孫の成人式用に少しずつ積み立てているという15万円を同封した。
北海道の女性も「日本はなっていないと思います。ささやかですが、ベトナムの皆様にお渡しください」と10万円を同封した。「食糧を送りたい」「会に2万円の寄付をしたい」といった申し出もあったという。
「日本に来てこんな過酷な生活と思いをさせたことに胸が痛みます。本当に申し訳ないと日本人の一人として思います」と手紙で書き、記事のコピーとともに3万円を同封してきた千葉県の人もいる。
朝日新聞にも「ベトナムの方々に少しでもカンパしたい」と、手元にあったユーロやドルなど総額約3万8千円相当を送ってくれた人や、5千円を送ってくれた神奈川県の女性、切り取った記事と一緒に1万円を送ってくれた千葉県の男性がいた。
27日までに、合わせて7人から約35万円相当の支援が寄せられた。多かったのは、コロナの集団感染が起きたクルーズ船でも働き、記事で大きく採り上げたブー・バン・ズンさん(36)への支援だ。
渡してほしい相手が明記されていたものは支援団体などを通じて本人に渡し、それ以外は今後の支援活動に役立ててもらうため、朝日新聞から支援団体に寄付することにした。
ズンさんは受け取った一部をベトナムの家族に送り、残りは同じように行き場を失ったベトナム人たちを保護している埼玉県本庄市の「大恩寺」などに寄付したそうだ。改めて聞くと、「私が困っていた時にお米をもらったので、お礼をしたい」と話した。
今年1月に取材した時のズン…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル