奥平真也
児童に暴言を吐いたとして停職1カ月の懲戒処分を受けたのは不当だとして、鳥取市立小学校の元教諭の女性(当時20代)が鳥取県教育委員会の処分取り消しを求めた訴訟の判決が8日、鳥取地裁であった。安西儀晃裁判長は、県教委の処分は重すぎ、裁量権の逸脱・乱用があったとして、女性の訴えを認め、停職処分を取り消す判決を言い渡した。
訴状などによると、女性は2021年4月から鳥取市立小学校で勤務。県教委は、女性が同年5月19日の授業中、児童に「調子に乗ったらぶっ殺す」「関西なめんなよ」などと発言したとして、同年8月4日付で停職1カ月の懲戒処分とした。女性は事実誤認があるとし、処分は重すぎると主張していた。
この日の判決で安西裁判長は、「ぶっ殺す」の発言は、女性側が提出した授業の録音データに存在せず、「事実は認定できない」とした。一方、「次言ったらもうやるからな」「関西なめんなよ」「泉州(大阪府南西部)なめんな」などの発言を根拠にした懲戒処分は許されると認定。これらは、「小学校教諭の職責に反するものとして非難を免れず、現に児童の心情が傷つけられている」とし、「懲戒処分に値すると認めること自体は相当」と判断した。
一方で女性が任用後1カ月半程度しか経過していない▽懲戒処分歴がない▽別の懲戒処分事例と比べて不均衡がある――などの理由から、戒告や減給ではなく停職としたのは「裁量権の範囲を逸脱、または乱用」だと指摘した。
県教委は「判決文を読んだ上で適切に対応を検討する」としている。(奥平真也)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル