京都府宇治市の在日コリアンが多く住むウトロ地区に30日、「ウトロ平和祈念館」が開館した。戦時中に国策の飛行場建設で集められた朝鮮人労働者や子孫らが暮らしてきた。当時の宿舎は全て解体されたが、新たな出会いと交流の場として地区の歴史を伝え続ける。
祈念館は3階建て、延べ450平方メートル。敷地入り口には、1943年ごろに建てられた労働者の宿舎を移築した。宿舎は木造平屋でトイレ、井戸は屋外で共用していた。「飯場(はんば)」と呼ばれ、劣悪な環境の象徴とされた。宿舎の玄関には、昨年8月の放火事件で焼け残った流し台を置いた。
2階には、在日1世の金君子(キムグンジャ)さん(2014年死去)の居間を再現した。かまどや食卓、カレンダーなどの生活用品に加え、雨漏りで傷んだ屋根が落ちないように支えていた鉄柱も置いた。金さんは、韓国大統領府で支援を訴えるなど地区の生活改善に尽力した。田川明子館長(77)は「苦労を顔に出さない人。『ここに生きとくことが運動だ』と言っていた」と振り返る。
ウトロ地区には終戦時、朝鮮…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル