京都府や兵庫県で22日、半年以上続いてきた飲食店への営業時間の短縮要請が完全に解除され、街に人が戻った。大阪府でも25日に解除される。ただ、長期間の制限で飲食店には打撃が残り、冬の「第6波」の懸念もある。コロナ禍前の日常は、まだ見えてこない。
神戸・三宮の老舗バー「サンボア」。10席ほどのカウンターに、夕方から代わる代わる客が訪れた。
東京から出張で来た会社員男性(48)は「全面解除で遅くまで気兼ねなく飲めるようになり、気持ちが晴れた」と笑顔。ただ、「飲みに行く時はしっかりと感染対策をしながらにしたい」と続けた。神戸市須磨区のアルバイトの男性(69)は、久々に会った友人とグラスを傾けた。「対策に気をつけながら友人たちと再会したい」
9カ月ぶりの神戸 老舗バーに客が戻る
兵庫県での時短要請全面解除は1月11日以来、約9カ月ぶりだ。
文豪の谷崎潤一郎も常連だったというサンボアは、神戸が発祥で関西や東京に広がった。神戸の店は閉じられ、今年4月に復活予定だったが、3度目の緊急事態宣言で延期に。6月下旬に午後8時までの営業で始めた後、休業と時短営業を繰り返し、今月22日から午後11時までの通常営業を始めることができた。
多くのバーの客の入りは深夜だ。自らカウンターに立つオーナーの新谷尚人さん(59)は「うちの営業は正午からだが、待ってくれていたお客さんのためにも解除は良かった」と話す。
ただ、来店客の中には「自粛が続き、毎日店に繰り出すことはなくなった」と話す人もいる。新谷さんは「飲みに行かない習慣ができてしまった。元に戻るのに3~5年ほどかかるのではないか」と不安も口にする。(森直由)
半年ぶりの京都 料理店「仕入れは昨日と同じ量」
京都の完全解除は半年ぶりになる。
「いよいよっすね」「えらい長かったなあ」。22日午後、京都随一の繁華街・木屋町通(京都市中京区)では、配達のおしぼり業者と居酒屋の店員らがあちこちで声をかけあっていた。
スペイン料理店「プラテロ」は21日まで、京都府の時短要請に従って午後9時で閉めていたが、22日からは午後11時半まで営業する。店主の野々山久夫さん(57)は午後1時ごろから開店準備に追われた。
「やっとです。初日はそこまで戻らないんじゃないかな。楽しみ半分、不安も半分」。仕入れる食材の量は、前日とほぼ同じにとどめた。
もともとは明治時代に創業した醬油専門店。徐々に酒類も扱うようになり、野々山さんが旅行で訪れたスペインに魅了されたことがきっかけで、現地での修業を経て2007年に今の店に作り替えた。
「時短要請全面解除」を、店の人たちは前向きに受け止めます。ただ、中にはまだ再開できない店も。「辞めた働き手をどうするかが課題」と専門家は指摘します。
緊急事態宣言や府独自の措置…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル