新型コロナウイルスの「第5波」で感染者が急増しています。患者を治療してきた「インターパーク倉持呼吸器内科」(宇都宮市)の倉持仁医師(49)は「(菅義偉首相は)至急、おやめになった方がいい」と発言し、反響を呼びました。発言の真意は何か。診療現場から見える今の政治とは。本人に聞きました。
――菅首相の辞職を3日のテレビ番組で求めました。
感染者が急増する地域で入院対象を重症化の恐れが高い人などに限る、とする政府方針が3日に出ました。この方針に怒りを覚えて発言しました。(国は5日に、入院は「最終的には医師の判断」などと文書を修正)
――発言はツイッターなどで大きな反響を呼びました。
批判は少なく、賛同する人が圧倒的に多かった。多くの人が、この政府方針は「実現させてはいけない」と感じていたということだと思います。
新型コロナは流行当初は治療法が確立していませんでしたが、現在は、発症の早期からCT検査(X線による画像検査)をして、医師が経過をきちんと見て適切に治療をすれば、ほとんどの人が死なずにすむ病気になってきています。
でも、あの政府方針が実現して治療が遅れたら、防げたはずの重症化が防げなくなる。本来は死なずにすむ病気でも、政治家が政策を間違えることによって、相当数の人が死ぬ病気へと早変わりをしてしまうのです。
ある患者さんに入院が必要かどうかは、診察した医師にしか分からない。政治が一律に線をひくことはそもそもできません。
官邸主導が強まり、現場のニーズを分かっていない人たちが政策をつくっているのではないでしょうか。現場の話に耳を貸さないし、見てもいない。だから、現実に合わない政策が出てくるのだと感じます。
――東京都などを中心に感染者が急増し、自宅療養者も全国で4万5千人(4日時点)を超えています。現在の流行状況をどう見ますか。
「第4波以上の悲惨な状況も」「パラ中止検討を」。現場から警告を発する倉持医師が、政治家に求めるものは何でしょうか。
感染拡大を呼ぶ恐れのある五…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル