「本当に思いがけない感じで戸惑っている。AOKIさんの事件と、うちは違うと思っていたので」
KADOKAWAの角川歴彦(つぐひこ)会長は5日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の元理事・高橋治之容疑者(78)側への資金提供が報じられたことを受け、急きょ取材に応じた。
紳士服大手「AOKIホールディングス」に強制捜査が入った7月、KADOKAWAは社内調査を実施した。「当時、弁護士のチェックも受けた契約で、問題はない」という報告書が上がった。
「僕はもう社員を信じますよ」。角川会長がそう言った翌6日、元専務ら2人が逮捕され、角川会長の自宅にまで捜索が入った。
次世代型の総合エンターテインメント企業――。KADOKAWAは出版業界が不振にあえぐ中、次々に新しい手を仕掛けてきた。
前身の角川書店は1945年に創業。49年創刊の角川文庫は文芸路線を掲げていたが、角川春樹氏が2代目の社長に就任した頃から大衆路線に転じ、推理小説やSF作品を世に出した。
76年公開の「犬神家の一族」に始まった一連の「角川映画」では大規模な宣伝を仕掛け、薬師丸ひろ子さんや原田知世さんといったスターを生んだ。
一方、カリスマ的存在だった春樹氏が93年にコカインの密輸事件で逮捕される不祥事も起きた。
弟の歴彦氏が社長になって立て直しを図り、アニメやゲーム、電子書籍関連の事業を積極的に進めた。2014年にはニコニコ動画を運営する「ドワンゴ」と経営統合した。
20年には埼玉県所沢市に「角川武蔵野ミュージアム」をオープンした。施設内にある「本棚劇場」は、その年のNHK紅白歌合戦で音楽ユニット「YOASOBI」の中継に使われ、話題を呼んだ。
そんな中で、東京五輪スポンサーにも手を上げた。
大会終了から1年、一転して汚職事件の当事者に
「東京で生まれる物語を出版…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル