海外帰国生と在京外国人生徒が、全生徒の3分の1以上を占める都立国際高。その独特の文化は、秋の「桜陽(おうよう)祭」にも色濃く表れている。海外と日本のいいとこ取りの「ハイブリッド文化祭」を取材した。
【連載】高校ポートレート
魅力ある東京都内の高校を訪ね、多彩な学びやスクールライフに迫る連載。今シリーズは、都立国際高校です。
「本日はご来場ありがとうございます。公演中、会場内での飲食は……」。公演前の体育館。日本語での放送後、すぐに“Thank you for coming to……”と英語でのアナウンスが続く。桜陽祭では、校内放送も校内掲示も2カ国語対応が基本だ。
ステージに1番手で登場したのは「ジャパニーズスタイル部」。琴、三味線、横笛で、映画主題歌としてヒットした「打上花火」(DAOKO×米津玄師)などを奏でる。続いて、法被を着た和太鼓隊が、力強い演奏を披露した。
「日本の学校に通うんだから、和に触れたいと思っていた。それに日本の文化祭を思いっきりやってみたかった」と、和太鼓を演奏した山内里桜(りお)さん(2年)。桜陽祭実行委員会の幹部メンバーでもある。
小中学時代の5年間、中国に住んでいた。通っていたインターナショナルスクールでも「スクールフェスティバル」はあったが、生徒は「招かれる側」だった。塾の先生に「日本の文化祭は、生徒自身で作る。招く側なんだよ」と聞き、憧れていた。入試の面接でも、「桜陽祭に中心メンバーとして参加したい」とアピールしたという。
実際、桜陽祭は企画も運営も生徒が担う。ジャパニーズスタイル部でも、大人の外部講師ではなく、上級生に一から演奏を教わっている。「想像以上の達成感です」と充実の表情を見せた。
国際高に「時代が追いついてきた」
ステージだけでなく、出店や展示も「国際高カラー」が強い。
「国際協力ボランティア同好会」は毎年、フェアトレードの商品を販売している。バングラデシュで女性たちが織った布製品は1300円、食品パッケージを再利用したビーチバッグは2700円だ。
「そんなにボランティアに関心があったわけではない」と、販売担当の及川祥花さん(2年)は明かす。小学生の頃に英国で暮らし、都立国際高を選んだのは「英語に強そうな学校」というだけの理由だった。
ところが、1年の必修授業「…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル