大阪市西成区の「あいりん総合センター」1階で20年以上にわたり、温かいカレーライスを月に1度無料で配ってきたボランティアがいる。4月の労働施設フロア(1~4階)閉鎖のあおりで提供場所を失ったが、継続を望む声に押され、転々としながら活動を続けている。
6月23日昼、センター西側。南海電気鉄道の高架下にある西成労働福祉センターの駐車場付近に、日雇い労働者や路上生活者らが長い列を作っていた。待っているのは1杯のカレー。配布が始まると、発泡スチロール製のどんぶりを次々と奪い取るように手にしていく。「ああ、おいしいねえ」。あちこちから声が上がった。
カレーを配っているのはNPO法人「炊き出し志絆(しはん)会」。1996年に阪神大震災の被災者支援をしていた英国人女性から、西成での炊き出しを相談され、弁当を労働者らに配る手伝いを始めた。翌年、女性が帰国すると、別の場所でつくったカレーを鍋ごとあいりん総合センター1階に運んで提供するようになった。
1階は建設業者などが車で乗り付け、日雇い労働者に仕事をあっせんする「寄せ場」(寄り場)で、高齢で働けなくなった路上生活者にとっては日中の居場所でもあった。カレーの炊き出しには毎回多くの人が並び、600~1300食がすぐになくなった。22年間で20万食以上をふるまったという。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル