臨床心理士・みたらし加奈=寄稿
Re:Ron連載「みたらし加奈の 味方でありたい」第4回
親から異性との結婚を期待されることがつらいです。歳を重ねるごとに結婚を勧めるような意図の話が増えています。それも「結婚が全てではないけれど」と枕ことばは置いてくれるのですが、その枕ことばが力を持たないほどにです。私は女性の非正規雇用なので、親も娘がひとりで生きていくことを心配しているのだとは推測できますが、私は恋愛にも結婚にもあまり興味が持てないのでどうしようもありません。どう理解してもらえばいいでしょうか。(相談者・ぽむりん)
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1年の後半に差し掛かってくると、頭をよぎるのは年末年始――。クリスマス、大みそか、正月など、年末から年始にかけて訪れるイベントは、どうしても世間のイメージから「恋人」や「家族」を連想させるものも多くあります。
しかしながら、こうした一見ハッピーなイベント事は、実は多くの人たちにとって苦痛を伴う行事でもあります。事実、私の元にも年末にかけて「実家に帰りたくない」「世間のムードに孤独を感じる」などのメッセージをいただくことがあります。
「家族」というもののイメージは、本来は孤独からかけ離れているはずのものです。なぜなら「家族さえいれば大丈夫!」というような表層のイメージを、私たちは多くのメディアから受け取ってきているはず……(汗)。ではなぜ、多くの人たちが苦痛を抱えているのか――。その根源には、「家族の定義」と「家族の実態」の乖離(かいり)が関係しています。
「頼もしいお父さん、優しいお母さん、元気な2人の子どもたち」。「家族」というイメージから連想されやすいペルソナ(個人や家族など架空の像)は、意外にも最近、戦後に作りあげられたものと言われています。しかし私が記憶している限りでは、平成の段階では「普段は弱気だけれど、いざという時は強いお父さん、普段は怖いけれど優しいお母さん、大人びた子ども」という次世代のイメージが一般に浸透しつつあった感覚もあります。後者のイメージは、できるだけメディアが実態に寄り添おうとした結果でもあるとは思いますが、それでもまだまだ本当の「実態」には到達できていません。
当たり前のことですが、この社会の中には多様な家族がいます。父親・母親・子どもという家庭だけではなく、ひとり親の場合もあるでしょうし、必ずしも子どもがいるわけではありません。同性のパートナーシップもあれば、同性間で子どもを育てている家庭もあります。さらに「家族」という枠組みを取り払うと、親と絶縁している人もいれば、そもそも生みの親の顔を知らない人だっています。
結婚をしない人だけではなく…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル