聞き手・藤田知也
高速道路6社が暴力団への規制を強め、クレジットカードがなくてもETCを使えるETCパーソナルカード(パソカ)からの排除を徹底しています。これに対して愛知県の暴力団幹部は昨年、法の下の平等を定める憲法14条などに反するとして6社を提訴し、いまも係争中。憲法に照らすと、どのような争点が浮かぶのか。憲法学者で立命館大法科大学院教授の倉田玲さんに聞きました。
――高速道を走ることは、日本国憲法で保障された権利だと言えますか。
「憲法第22条第1項は『居住、移転及び職業選択の自由』を定めている。高速道を走る自由は、公共の道路を日常的に通れるのと同じように『移転の自由』に含む形で権利として保障される。暴力団員であっても同じだ」
――暴力団員であることを理由にパソカを使わせない行為は、どう評価されますか。
「どの程度の制約や権利侵害になるかがポイントの一つだ。高速道から完全に排除すれば権利の侵害と言えるが、カードがなくてもETCレーンを通れるなら話は変わる。現金で利用する場合の手間や負担がどの程度か、身近なインターはどうなっているか。そうした実害の程度によっても判断は違ってくる」
――憲法で保障された権利の制約や侵害が許されるのは、どのような場合でしょうか。
「憲法第22条第1項には『公共の福祉に反しない限り』という前置きがある。公共の福祉は、みんなの幸せを指す。他人に迷惑をかけるような権利の使い方は認められず、制約できると解釈される」
民間企業と同じ論法は通用しない
――高速道での『公共の福祉』とは何でしょうか。
「パソカの利用規約には以前…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル