北海道旭川市で3月、中学2年の女子生徒(当時14)が遺体で見つかり、母親がいじめを受けていたと訴えている問題で、代理人弁護士が18日、記者会見を開いた。母親は娘の死を受け入れられず、学校や市教育委員会の対応に強い不信感を抱いているという。市教委は「いじめ防止等対策委員会」で調査しているが、遺族との情報共有がなされていないなどの違和感を感じているという。
亡くなったのは広瀬爽彩(さあや)さん。母親が今回、「事件を風化させないで欲しい」として名前を明らかにした。会見には、代理人の石田達也弁護士(大津市)ら弁護士5人が出席。母親は書面で手記を公表した。
手記では、小学生のころから快活だった爽彩さんへの思いや、中学入学後にいじめを疑い、学校や市教委に相談をしてきた経緯がつづられている。石田弁護士によると、「ネット上で根も葉もない話が出回っている。正しいことを伝えて欲しい」という母親の思いもあったという。
手記や弁護士の説明によると、爽彩さんは中学入学直後の2019年4月下旬ごろから様子が変わったという。同年5月の大型連休中には、午前3~4時ごろに「先輩に呼ばれているから行かなきゃいけない」と泣きながら家を飛び出し、6月には先輩に呼び出されたまま帰宅せず、深夜にコンビニエンスストアで保護されたこともあった。
「死にたい」と言い出すこともあり、母親は学校でいじめを受けている可能性を疑い学校に相談したが、「いじめのわけがない」と否定されたという。
同年6月22日には川の中に入って教師らに保護され、病院に運ばれた。母親が爽彩さんの携帯電話にいじめを受けていたことを示す履歴を見つけて学校に知らせたが、「いたずらが過ぎただけ」とこのときも否定されたという。
そのため、母親は道教委に相談。弁護士によると、道教委からは「(川の中への入水は)自殺未遂と解釈でき、市教委にいじめ疑いで調査するよう指示した」と説明されたという。会見で石田弁護士は「(爽彩さんは)3メートル以上ある土手から飛び降り、そこから歩いて入水している。危険なシグナルと受け止めるべきで、教員がその場に行っているのにいじめがないと認識してしまうところに異常さを覚える」と批判した。
手記の後半で、母親は「爽彩は生前、内緒にして欲しいと言って担任の先生に(いじめの)相談をしていました」と記し、「学校や市教委がいじめから目を背ける間に爽彩に何が起きたのか。明るく元気で笑顔を絶やさない爽彩を、まるで違う人のようにしてしまったのは何だったのか真相を知りたい。調査委員会(いじめ防止等対策委員会)には今も違和感と疑問をぬぐい去れません」と訴えている。(井上潜)
■母親の手記の概要…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル