九州での桜の開花が近づく中、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各地のお花見の名所も対応を迫られている。恒例の飲食の出店やイベントの中止が続々と決まり、宴会の自粛を呼び掛ける公園も。記録的な暖冬で今年は早めに楽しめるはずだったお花見シーズンだが、ちょっぴり寂しい風景になりそうだ。
5日に日本気象協会九州支社が発表した予想によると、九州北部で最も早い開花は福岡市の16日。各地の満開予想日も、平年より3~6日早くなる見通しだ。
例年、会社員らのグループでにぎわう福岡市・天神の天神中央公園では、20日から開催予定だった出店が並ぶ「天神さくらまつり」の中止を決めた。公園の指定管理者によると、桜並木近くの有料の区画も設けないという。公園は開放しているが、宴会については「事態が収束するまでの自制」を求める。「お客さまの健康維持を第一に考えた。協力をお願いしたい」
北九州市も5日、勝山公園など市内の公園での宴会を自粛し、「桜は散策で楽しんで」と呼び掛けた。
熊本城(熊本市中央区)でも「春のくまもとお城まつり」が中止に。原則日曜祝日に実施していた、復興過程を見学できる天守閣前広場までの特別公開も1日から見合わせており、市熊本城総合事務所は「本来なら桜並木を楽しみながら見学してもらえたのに」と残念がる。
一方、樹齢400年を超える「一心行の大桜」(熊本県南阿蘇村)では、20日からの「南阿蘇桜さくら植木まつり」をステージイベント抜きで開催。満開宣言の日から3日間の夜間ライトアップも行う。
約2千本の桜が並ぶ大村公園(長崎県大村市)や、唐津湾も望める唐津城(佐賀県唐津市)、川沿いの桜が人気の平和市民公園(大分市)などでは、今のところ宴会の自粛は求めておらず、「状況を踏まえ、各自の判断で利用してほしい」としている。
感染症に詳しい福岡市の稲光毅医師(小児科)は「屋外での宴会は、屋内に比べると感染リスクが低いとみられるが、紙コップでの回し飲みやタオルの共用を避けるなど、各自でできる対策を取ってほしい」としている。 (吉田真紀、内田完爾)
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