上保晃平 佐々木健
千葉県習志野市消防本部の中央消防署で6月、勤務中に指にけがを負った当直責任者の男性消防司令(49)が、救急車を使って、署に近い病院まで搬送されていたことがわかった。
市消防総務課によると、消防司令は同月20日午前11時ごろ、清掃作業中に手の指を切る軽傷を負った。応急処置をしたが止血が出来ず、けがをしてから約40分後に119番を介さず救急車を利用。中央署から徒歩5分以内の習志野第一病院に救急搬送し、縫合処置などを受けた。治療中待機させていた時間を含め、救急車を使用したのは約36分間にわたったという。
同月28日に牟田弘署長がこの消防司令に対し「署員の救急車利用は、市民から私的利用との誤解を招きかねない」と注意をしたという。同課は取材に対して救急車の利用は適正だったとの認識を示したうえで、「出動要請には近隣署の救急車で対応出来るため、市民への影響はない」と説明した。
総務省消防庁は、出動回数の増加や救急車不足から、タクシー代わりの不適切使用や不要不急の利用を控えるよう呼びかけている。県内では2月、市原市内で昨年8月に救急車や公用車を私的に使用したなどとして、市消防局長を停職1カ月の懲戒処分にしている。(上保晃平)
病院まで歩ける距離なのに 「影響ない」で済ませて良いのか
《解説》中央署の署長は「署員の救急車利用は、市民から私的利用との誤解を招きかねない」と注意したという。しかし、署員でも市民でも緊急性があるのであれば、救急車を利用することはなんら問題はない。この注意で重要なのは、「この程度で」という問題意識があったかどうかだ。
救急隊員は応急処置のプロ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル