スタバはないけど、スナバ(鳥取砂丘)はある――。そんなダジャレから2014年に生まれた鳥取発の喫茶店「すなば珈琲(コーヒー)」が昨年、初の県外店をオープンした。「県外出店しない」という方針の下、例外的に出店したのは、鳥取県からはるか遠く離れた東北の被災地だった。
「鳥取のすなば珈琲ですよね。どうしてここにあるんですか?」。東日本大震災の津波で被災し、昨年9月に8年半ぶりに営業を再開した岩手県陸前高田市の道の駅「高田松原」。その一角にある「すなば珈琲高田松原店」で働く同市出身の高橋佳希さん(27)は、カウンター越しによくお客さんにそう尋ねられる。
「震災以降、鳥取の方が何度もボランティアに来てくれたんです。そのつながりでここにあるんです」。高橋さんはお店が忙しい時でも、できるだけ丁寧に説明するようにしている。
2011年3月。鳥取県内ですなば珈琲などの飲食店を経営する「ぎんりんグループ」の社長村上亜由美さん(55)は連日の震災報道に落ち着かずにいた。地震発生から2週間後の夜、トラックに鍋やコンロ、飲食料品を詰め込むと炊き出し支援のため夫と従業員数人で鳥取を出発した。
福島県郡山市で2千食以上振る…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル