ふるさと納税は2021年度、過去最多の8302億円の寄付が集まったにもかかわらず、多くの自治体が赤字に陥っている。寄付の46%にあたる3851億円が経費として消えているからだ。税収となるはずだった寄付金は、どこに行っているのか――。
京都府の南西端に位置する精華町。人口は約3万6千人で、京都市や大阪市のベッドタウンとして知られる。この町が17年度、全国の町村で最多となる約7千万円の赤字を記録した。当時は「寄付者の思いが一番で、返礼品で寄付をかき集めるのは違うというスタンスだった」(担当者)ため、返礼品も用意していなかった。
しかし、あまりに赤字がかさんだため、近年は方針を転換。「ふるさと納税赤字日本一」をあえて打ち出し、芋焼酎やスイーツなどの返礼品も用意し、21年度には17年度の約26倍にあたる6629万円の寄付を集めた。
それでも、住民が他の自治体に寄付して税収が減った分は1億4720万円に上り、赤字は町村別で全国ワースト3位となる1億1千万円まで膨らんだ。
自力では集まらない寄付 仲介サイト増す存在感
控除分の75%が国から交付税として補われるため、最終的な収支は「トントンぐらい」(担当者)というが、返礼品の調達に1795万円、返礼品の送料や決済手数料などに1412万円がかかるなど、せっかく寄付を集めても半分が経費として消えている。
特に、少なからぬ手数料が支払われているのが、自治体の決済を代行したり、返礼品を紹介したりする仲介サイトだ。西日本のある自治体の担当者は「返礼品の調達費は基本的に地元の業者に落ちるが、仲介サイトの手数料はそうではない。それでも、自力だけでは寄付が集まらないため、仲介サイトへの掲載が欠かせない」と説明する。
複数の自治体の話を総合する…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル